(医療)
医務官からの医療情報(糖尿病につい て)

嘉川裕康(在カンボジア大使 館医務官)

  初めまして。この3月より在カンボジア大使館の医務官として勤務しています嘉川といいます。7月27日、マレーシア巡回検診でジョホール日本人会事務局長 の木村さんにお会いする機会があり、なにか私自身邦人の方にお役にたてることはないですかとお願いしたところ、このような機会を与えてくださいまして、有 り難うございます。私の専門は内科で糖尿病です。資格は内科専門医、糖尿病専門医、産業認定医をもっています。これまで10年程九州大学第3内科に所属し 勤務医をしていましたが、3月より外務省で働いています。
  現在日本は糖尿病がとても多く、平成14年度厚生労働省の発表では、糖尿病が強く疑われる人は740万人、可能性を否定できない人は880万人で、合計す ると1,620万人に達しています。これは日本だけの問題ではなく、糖尿病の激増は世界的な問題となっています。2000年現在、糖尿病患者数が最も多い のがインドで3,170万人、2位が中国(2,080万人)、3位が米国(1,770万人)、4位がインドネシア(840万人)で、5位が日本です。しか し、2030年にはインドは7,940万人、中国は4,230万人へと倍増すると見られています。マレーシアではどのぐらいの患者さんがいるかはわかりま せんが、かなり増えていると聞いています。それほど肥満していなくても糖尿病を発症する率が高いアジア系人種は、欧米人とは異なる成因があるのでは、と言 われています。糖尿病は放置しておくと、全身の血管に障害が及ぶ(血管合併症)病気です。血管合併症としては、比較的大きな血管に障害が及ぶ狭心症、心筋 梗塞、脳梗塞や、小さい血管に障害が及ぶ神経障害、腎症、網膜症等、それ以外にもいろんな病気があります。糖尿病は現在、失明や透析の原因疾患の第1位に なっています。また、血管合併症は、糖尿病以外にも高血圧、高脂血症(コレステロール、中性脂肪)といった他の病気でも発症します。このような病気は、不 適切な生活習慣により進み、生活習慣の改善によって予防できる生活習慣病といわれています。現在、日本人の高血圧患者は約3,500万人、高コレステロー ル血症は2,400万人以上とかなり多い病気で、これらの病気は重なることによって血管合併症が発症しやすくなります。2005年4月に大阪で開かれた第 102回内科学会で、メタボリックシンドローム診断基準が発表されました。メタボリックシンドロームとは、糖尿病や高血圧、高脂血症などそれらを統合した 呼称で、今回日本動脈硬化学会などの8学会で組織する委員会が診断基準をまとめました。(次頁参照)


  こ れまでと大きく違う点は、ウエスト周囲径で判定する腹腔内脂肪蓄積を診断の必須項目にしていることです。いずれにせよ、いかに早 期に発見し、早期に治療 を開始するかが重要です。私自身今回初めてマレーシアにきましたが、マレーシア料理はかなり甘く、脂っこい感じがしました。ジョホールバルで生活している みなさんは、かなり危険な状態かもしれません。まずは病気の正しい知識をつけて日頃から注意していけば、恐い病気ではないと思います。
  今後どのような形で日本人会の方々とおつきあいしていけばいいか、事務局長の木村さんと話し合いながら、みなさんのお役に立てればと思っています。ジョ ホールバル巡回検診は年に3回から4回ありますので、次回は10月または11月に訪問させて頂きたいと思います。今後とも宜しくお願いします。