あなたもまた狙われていますよ(No.20)
 
木村 秀美〈日本人会〉
今、連日日本と韓国では2002ワールドカップで沸いています。昨日はブラジルがトルコに1−0で勝って、6月30日に横浜で開催される決勝戦で、先に韓国に勝ったドイツと戦うこととなりました。
 
ズット前のことですが、これは私が業務でブラジルのサンパウロとリオデジャネイロに 長期滞在していた時の話です。ブラジル人は当時も今も変わらずしかも老若男女の例外 なくサッカーには非常に熱心です。
 
当マレーシアでもワールドカップの勝敗を賭けて、賭け金を工面するためあちこちを血眼になって駆け巡っている人たちがあると新聞記事でも見かけます。不届きな輩は奥さんを担保にして友達から賭けのお金を借りたという例があるとかないとか。いずれにしても 国際大会のサッカーゲームに対するかの地の熱狂はその比ではありませんでした。たま たま私が滞在中にブラジルが出場する国際試合が日中にありましたが、試合がテレビ中継されている間は役所でも会社の事務所や工場でも人々は一時仕事を中止して、ゲームを テレビで見ていて、まったく仕事になりませんでした。その昔日系の某メーカーが ブラジルに進出した操業開始当時、このあたりの国民性を理解せず、社員や工員にゲーム中も仕事を続けるように命令しましたが、彼らは職場に戻らずどのような手段を取っても効果がなくて困ってしまった。そこで、この会社では事務所や工場内のあちこちに受像機を設置し、作業を中断して従業員にテレビを見させるようにしたことで、ゲーム当日の 出勤率も悪くならず成功したとの話を聞きました。
 
処で、当時のブラジルの治安は悪くて、街中にいくつもある銃砲店では身分証明書を提示すれば〈外国人の場合はパスポート〉いとも簡単にしかも安くピストルやライフルを買う ことが出来ました。従って、彼らはピストルを携帯していて興奮すればいつどこから銃弾が飛んでくるか判らないと言う様でした。私達出張者が現地に滞在する日本人から 言われていたことは、保身の手段として『家で居る時も或いは外出する時も必ずUS$で 50ドル位はポケットに入れて置くこと』でした。万一強盗にあっても持っている現金 さえ全部渡せば命は助けてくれるとのことでした。真偽のことは分りませんが、或る日本人が路上強盗に遇ったのですが、たまたま現金を持っていなかったのでこの賊は激怒して、その日本人を高速道路が走る横断橋の欄干に立たせて、「くそでなし。おまえはここから飛び降びて死ね!!」と言われて突き落とされたとのこと。私もその現場を見せてもらいました。下はひっきりなしに高速で車が走っていて、その橋から落ちたら全巻の終わりと痛感したことを思い出します。もちろん私もこの現地の人の忠告に従って、万一の場合に備えていつもUS$50は胸のポケットにしまっていたことは言うでもありません。金額はその国によって変えてはいますが、このお守りをその後も私が海外に滞在する時は必ず 私の身に付けています。
 
【教訓】
         人生一度だけです。現地の人たちや先輩の言うことにもチョット耳を貸すことにより、尊い命がUS$50やUS$100で命が買えるのならば或る意味では大変安い買い物と言えます。