あなたもまた狙われていますよ(No.22)
 
木村 秀美
このシリーズは2000年11月発行の第97号より毎月連載して参りましたが、ここ3ヶ月チョット休ませていただきました。その間にも世の中は休むことなく動いていました。私がこのレポートを書いているのを知っている友人や知人から「このような怖い経験をしたと電話をいただいています。
 
そこで今回はシンガポールの友人が最近海外旅行中乗っていた観光バスがトンネルの中で燃えて、所有物は全部失ったが幸いにも命だけ助かったと言う「九死に一生」の実話です。 事故は今月初めニュージランドの南島で発生しました。シンガポールの某ローカル旅行代理店が募集した「ニュージランド○泊×日パッケージ旅行」に合計32名の一人として参加しました。この団体旅行に参加した日本人は彼一人でした。事故は旅程の最後の日に湖と山の大自然を売り物とするミルフォード・サウンドからの帰途の午後、下りトンネルの中で起きました。
 
午前中景観を堪能して昼食をとり、バスに乗り込んで一息ついた時、後部座席に乗っていた人が「何かこげる臭いがする」と騒ぎ出し、彼が後を見たらバスの後部から煙と炎が出ていたのです。車内は騒然となり、彼は大急ぎで頭上の網棚に上げていたナップ・サックを取って大急ぎでバスを下りました。バスの下部の荷物入れの場所は既に火が回っていてスーツ・ケース等には手がつけられず、他の乗客も荷物を放置してトンネルを下の方向へ逃げました。彼は写真が趣味でスーツ・ケースの中に数多くの撮影済みフイルムやお土産を全部まとめて入れていました。又、取りあえず使う予定のない現金(約10万円)も入れていましたが、全部焼けてしまいました。
 
幸いにも乗客は全員無事で彼が私に見せてくれた事故翌日発行の地元紙1面には完全に焼け爛れたバスの残骸の写真が載っていましたが、レポーターは人的被害がなかったのは全く奇跡だと報じていました。バス会社は乗客に肌着の着替えと弁償金を約10万円払ったとのことですが、ツアーを手配した旅行会社からは1銭も出なかったとのこと。世界各地で日本人の旅行者がバス事故に遭っていることがよくテレビ・ラジオで報道されています。 これは10数年前のことですが会社の同僚が中国の天津からちょっと離れた田舎の都市に機械の据付で出張した時、凍った路面でスリップしてバスが転覆して、彼は怪我をして近くの病院に運び込まれました。通信事情の悪かった当時とのこととて(今でも田舎へ行けばほとんど変わっていませんが)東京と当人の間の連絡が3日間も途切れてしまいました。心配して訪問先に電話を入れましたが到着しておらず、音信不通となって4日目にやっと当人から電話が入り、事故にあって入院していたが、今日退院したばかりと言うことで、又怪我はたいしたこともなかったことが分り、関係者一同は安心しました。彼の場合は常日頃出張した時にも連絡を蜜にする性格であったので大変心配していた次第です。処で、前者のシンガポールの友人は単身赴任で旅程と連絡先を友人にもまた日本の家族にも言ってなかったとのことでした。事故の後「若しあの時死んでいたら・・・」と思うとゾッとすると述懐していました。
 
≪ 教訓 ≫

1. 事故を100%避けることは不可能です。旅行する時には関係者(会社上司・    同僚・友人等)に行き先・旅程・連絡先を必ず言って出掛けること。
2. トンネル火災事故の場合原則トンネルの下方の入り口に向かって逃げるこ
    と。

↑ Milford Sandミルフォード・サンド
↑ 標高1692mのMitre Peakマイター・ピークの景観
(写真提供 T.H.氏)