久しぶりに今回は私が日本でまんまと引っかかった詐欺の被害について取りあげてみたいと思います。
それは私がまだサラリーマン現役のころの話です。当時勤務先は浜松町の貿易センタービル内にあり、住まいは千葉の西千葉でした。土曜日は半日勤務で、その日はマージャンの面子が揃わず、やむなく時間つぶしに東京駅で電車を降りて駅構内のDデパートや地下商店街をウロウロしていました。
その時、私と同じ年頃と思われる背広にネクタイ姿のサラリーマン風の男が近寄って来て「舶来のいい洋服生地があります。今同じものをこのDデパートへ納入しにきたのだが、1着分の生地が余った。特別に安くするから買って貰えませんか?」と話しかけられた。
「買わなくても結構です。ちょっと品物を見て下さい。生地は英国製の100%ウールです。」
実は会社の仕事で初めてイギリスに出張した時、訪問先の人に連れて行ってもらい、洋服生地を買い(さすがに本場では大変安かった)、日本で仕立てたことがあり、その背広にはいたく満足していました。その後も時々イギリスへ出張する友人に英国製洋服生地を買って来て貰っていました。当時の背広三つ揃い)の日本での仕立て代は4−5万円でした。都内有名デパートで英国製生地を使用した背広三つ揃いは優に10万円を超えていました。「英国製純毛洋服生地1着分、Dデパートに5万円で卸しているのを、3万円にしておく」と、納品書の写しまで見せてくれた。これは面白いと興味を示した私を彼は「日本ビル」に通ずる地下道の端の方に連れて行って品物を見せてくれた。そこは人通りも少なくちょっと薄暗かったが、生地の柄もまあまあで少なくとも2万円は得をすると計算して、さらに欲を出して駄目もとで「2万円にまけてよ」と持ちかけると「それは無理です。卸の半値の2万5千円にします」ということでやっと商談(?)成立、私は金を払った。翌週会社に出入りの仕立て屋に来て貰って、この生地を見せて背広の仕立てを注文した。仕立て屋にこの生地は友達からもらったのだがいくら位のものだろうかと打診したら「まあ7―8千円でしよう」との返事。「三つ揃いを作るには長さが足りませんよ」とのこと。
実は路上で2万5千円支払って買ったものだとは言えず、ましてや今更仕立てを止めるとも言えず、結局なんだかんだと講釈をならべて仕立て代を格安にして貰いました、又、生地の代金を払った時、彼は念のために連絡先の電話番号を教えて置くと言って自分から先ほど見せてくれた納品書に押してあるゴム印のところを破って渡してくれた。後日電話を入れたがもちろんでたらめな電話番号でした。
要はまんまと詐欺師に掛かってしまったのである。ブランドものに弱い若者(?)の真理を突いた見事な詐欺師のわなにはまった中年サラリーマンのほろ苦い経験でした。
(教訓) 英国製生地という世間一般に受けられている高級品というイメージ、有名
デパートへ納入していると言って納品書の控えをみせる行動、後日の連絡先
もちゃんと自分から相手に言うなどの状況で、いとも簡単に信じてだまされて
しまいました。
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