あなたもまた狙われていますよ(No.34)
木村 秀美

皆さんの中で突然見ず知らずの人から次のような趣旨の手紙を受け取った経験のある人はいませんか?どこで氏名住所を調べてこの種の手紙を送ってくるのか知りませんが、受け取った本人は余り気持ちのよいものではありません。この手紙の内容は次の通りです。

『私は南アフリカにある大手銀行のマネジャーです。或るアメリカ人が8年前に私の銀行に35百万英国ボンド ( 約70億円 ) の定期預金をしました。この定期預金は数年前に既に満期日となっています。

ところが、この定期預金の受取人である J 氏は先のアメリカでの9.11テロ事件で不幸にも犠牲となって亡くなりました。 J 氏にはその財産を相続する親族がおりません。銀行では過去2年間、相続権を持つ人を探す努力をしたが、私の銀行には誰も連絡して来ません。このお金を海外 ( 出来ればアジア ) の銀行のオフショア勘定に振替える手続きは終わっています。

私たちは今このお金を送金する信頼できる海外のパートナーを探しています。私はこのパートナー探しを依頼されました。もしあなたがこのことで手伝いをしていただけたら、関係者の間では総額の20% ( 約14億円 ) をあなたに差し上げることに同意しています。あなたがこの話に興味があれば詳細を打ち合わせたいと思いますので、上記の E-mail アドレスあるいは電話番号にコンタクトして下さい。』

私はこれまで幾度となくこの種の手紙或いはファックスを受け取りました。発信元は南アフリカであったり、ナイジェリア、時には今回のように英国であったりでした。そして発信人の住所は必ず郵便局の私書箱( P.O.Box )となっています。パートナーを海外で探している理由もほとんど同じで、世界銀行から融資を受けて実施した石油関連の政府プロジェクトに関係した政府要人が、多額のお金 US$ を海外に合法的に持ち出したいので、これに協力してくれる人を探している。あなたの住所と銀行口座番号を教えて貰うだけでよいとなっていました。

さて、もし私がこの相手に興味があると返事したらどうなると思われますか?先ず35百万英ポンドの20%は日本円でいくらになるか計算してみましょうか。1英ポンドの相場は現在199円ですから35百万ポンドは69億7千万円となり、その20%は13億9千万円となります。努力をしないでこんな大金が手に入るのですから、皆さんもチョット話を聞いてみようと思いませんか?やはりいるのです、世間には、日本でもあるいはこのマレーシアにも、そのような人が。これからの話は私の経験ではなくて新聞・雑誌等に報じられたものです。

A さんがチョット話を聞きたいと相手に連絡すると、先ず該当国で銀行口座を開設する必要があるので、まず弁護士費用や銀行費用に充当する或る一定金額を指定する銀行口座に送金して欲しいとのこと。

あとはこちらで全部手続きをする。さて、 A さんが送金してだいぶ日数がたっても、その後相手からは何の連絡もないので、手紙を書くが、まったくなしのつぶて。ここで初めて A さんはだまされたと気がつきました。

これよりもっとあくどい手段もありました。 B さんの場合は先ず口座開設のために送金を要求されて、その後手続きは本人が当該国へ来てやらないと駄目だと言われました。何月何日どこそこの空港へ来て欲しい。空港では関係者が出迎えます。ここでのこのこと現地へ出かけていったのが B さんでした。

空港へ着くと関係者という人が飛行機を降りたら直ぐ「あなたは VIP 待遇です」と言われて、彼は移民局のカウンターを通らずに別室に案内する。その時入国手続きをするのでパスポートを預からしてくれと言われ、何の疑いも無く B さんはパスポートを相手に預けた。その内に今度は違う制服の役人(?)が出てきて「これはあなたのパスポートか?」と聞かれる。「そうです」と答えると「あなたのパスポートには入国のスタンプがない。不法入国者として取り調べる」となる。 B さんがいくらこれまでの事情を言っても役人は取り上げてくれない。入国係官は「あなたが不法入国を認め、不法入国の罰金を払えば留置所へ入るのだけはまぬがれるがどうする?」となり、結局 B さんは罰金金を払わされた。でも手紙の相手とは会うことは出来なかった。ここで彼はだまされたと気がついたのです。

又のケースでは、罰金を払う金を持っていないと言うと、身を拘束され自国から送金させられた。送金が届くまでまったく生きた気持ちがしなかったと後日のインタビューでレポーターにしゃべっていました。

話は以上ですが、この手紙は立派な英語(クウインーズ イングリッシュ)で書かれていますので、ついついこのようなもうけ話に乗ってしまうことがあります。

うまい話には必ずおとし穴がある


以上