あなたもまた狙われていますよ(No. 41)木村秀美 今回は数日前に手元に届いた日本からの「誘拐詐欺被害」未遂事件についてのレポートです。マレーシアではこの種の詐欺にかか ることはめったにないとは思いますが、皆さんに参考としてご披露します。 この事件はごく最近東京の近郊都市で発生しました。ごく最近のある金曜日の午後Sさん宅に「三菱クレジット」の者と名乗る男性から電話が掛かって来て、そこの奥さんが電話に出ました。電話の内容は「お母さ んですか?私の会社はお宅の娘さんに1年前現金50万円とショッピング・ローン100万円を融資しているが、いまだに返済してもらっていない。金利を入れ ると現在200万円近くになっている。今すぐに96万円を支払ってもらわないと、娘さんにしばらくの間大阪へ行って働いて返済してもらわねばならない。」 というものであった。この母親は「娘からそのような借金のことは一切聞いていない。 本人に直接確認したい。」と返事すると、相手の男は「実はお宅の娘 さんは今私の方で 預かっていて、40分後に出発する大阪行きの飛行機に乗ってもらうことになっている。いま直ぐに96万円を払ってもらったら、娘さ んは家に帰ってもらう。」母親が相手に「娘に直接話をしたいので、娘を電話口に出して欲しい」と言うと、娘さんが電話口に出て泣きじゃくりながら「お母さ ん、ごめんなさい、ごめんなさい」とただただ謝るだけであった。「あんた本当にお金を借りたの?何故そんな大金が必要だったの?何に使ったの?」と問いた だしても、娘さんはただ泣きじゃくって「お母さん、ごめんなさい」を繰り返すのみである。全くらちがあかないので、母親は多分娘が横にいる男に脅迫されて 自由にしゃべれることが出来ないのだと推測した。母親は、そこで男に「主人と相談してお金が準備できるかどうか返事をするので連絡電話番号を教えて欲し い」と言うと「金を準備しろ。20分後にこちらから電話する」と言って電話は切れた。 母親は直ぐ娘さんの携帯に電話を入れたが繋がらずメッセージを残す。これをイライラ しながら数回繰り返す。時間だけが過ぎ て行く。まだ繋がらない。母親は娘さんの携帯 電話も男に押さえられていて、返事できないのだと考えるようになる。娘を助けたいと言う親心が働き始め る。その内に20分が過ぎて、先ほどの男から再び電話が掛かって来た。「飛行機の出発まで後20分しかない。金は準備出来たか?」の問いに、母親は「お金 は これから銀行に行って引き出すが、娘の顔をみてから支払う。娘は今どこにいるのか?」と聞くと、「羽田の駐車場のそば」だと言う。「駐車場のそばだ けでは分からない。具体的にどこの駐車場かを言ってもらわないと困る。さもないとお金を持って行けない。」と 必死で食い下がる。相手の男は「後20分 で来られるか?」「行ける。連絡先の電話番号は?」と聞いて、相手の携帯電話番号を聞き出す。念のため警察に電話したら、警察官がすぐ家に来てくれた。 この時母親はチョットした人間らしいミスをしている。警察―110番に電話するのに消防署の電話119にダイヤルしていた。 警察官は一部始終を聞いてメモを取る。警察は事件ではないので動かない。母親は時間がないので銀行に行くため駐車場の車へ向かう。銀行までは車なら数分で 着く。丁度その時、娘さんから携帯電話に残された母親の伝言を見たと言って、母親の携帯電話に電話が入った。母親が娘に何処にいるのかと聞くと、娘さんは 「松戸」だと言い、借金の話をすると全然知らないと言う。母親はここで初めて先ほどらいの男の話がまったくの嘘だと気が付いた。そこで銀行に行くのをやめ た。寸前の とこで被害に遭わずに済んだのです。 この母親はこのたぐいの詐欺に遭うのを防ぐために常々直接本人に事実を確認することが肝要と言うことを承知していたので、娘 さんの携帯に電話したのですが、娘さんが出ないので借金は事実だと考えざるを得ず、娘を助けたい一心で相手にお金を払うことを決めたのです。娘さんからの 連絡があと2-3分遅れたら、この母親は96万円の 詐欺被害に遭っていました。全くラッキーだったとしています。 私はこの話の中から「人の心の隙をつく微妙な細工」が仕掛けられていることに気が付きました。
氏名、家族構成等。⇒これらの情報は他人にはむやみに開示しないことが肝要。
ことを伝えて相手を混乱に陥れる。
⇒答えたら芝居がばれるおそれがある。 本人であるかどうかを確認のため、 本人しか答えることが出来ない質問を する必要がある。
これらのことは「おれおれ詐欺」にも使われるテクニックと似通っています。皆さんも被害に掛からないように充分に注意して下 さい。 以上 |