マレーシアについての海外安全情報(危険情報)の発出
平成28年2月22日
在マレーシア日本国大使館
●サバ州東側の島嶼部及び周辺海域
:「レベル3:渡航は止めてください。(渡航中止勧告)」(継続)
●サバ州東海岸のうち,サンダカン,ラハ・ダトゥ,クナ及びセンポルナ周辺地域
:「レベル3:渡航は止めてください。(渡航中止勧告)」(継続)
●サバ州東海岸のうち,上記「レベル3:渡航は止めてください。(渡航中止勧告)」発出以外の地域
(タワウ含む)
:「レベル2:不要不急の渡航は止めてください。」(継続)
1.概況
(1)マレーシアでは,2015年に入りイスラム過激化組織ISIL(イラク・レバントのイスラム国)支持者の大量検挙
(4月以降,大規模摘発を断続的に実施)や政府系ファンドに関する多額の使途不明金問題を契機とする政府批判
デモの発生(8月,9月),さらには,イスラム過激化組織アブ・サヤフ・グループ(ASG)やISILが構成員を
サバ州やクアラルンプールに送り出すことを決定したとされる脅威情報(11月)など,「安定した治安」への不安が
垣間見られる状況にあります。
さらに,2016年1月には,クアラルンプール市内でテロ攻撃を企図していた者や中東への渡航者の支援を行って
いた者らが逮捕されるなど,テロ情勢は,引き続き予断を許さない状況です。
(2)東マレーシア(ボルネオ島)のサバ州南東部ラハ・ダトゥ地区では,2013年2月,「スールー王国軍
(Royal Sulu Sultanate Army)」と称する武装勢力によるフィリピン側からの侵入事案が発生しました。
これに対し,同年3月以降,マレーシア警察・軍による共同掃討作戦が実施され,同年6月末,作戦終了が宣言され
ました。その後事態は沈静化していますが,スールー・スルタンはサバの領有権を引き続き主張しており,今後も
同種の事案発生が懸念されます。
(3)また,サバ州東側の島嶼部及び周辺海域及び同州東海岸一部地域においては,これまでにフィリピン南部
を拠点とするASG等による外国人誘拐事件が複数発生しており,最近では海岸にあるレストランや島嶼部のリゾート
に対する襲撃事件が発生するなど不穏な状況が続いています。ASGはISILに忠誠を誓う声明を発出しており,
引き続き高い警戒が必要です。
(4)マレーシアでは,本年に入り国家警察と軍が協働して大規模商業施設や観光地などで警戒活動を行うなど,
テロ攻撃に対する各種対策を進めています。
しかし,近年,シリアやチュニジアにおける日本人が殺害されたテロ事件や,パリでの同時多発テロ事件などが
発生しています。このように,世界の様々な地域でイスラム過激派組織によるテロがみられるほか,これらの主張
に影響を受けた者による一匹狼(ローンウルフ)型等のテロが発生しており,マレーシア国内でも多数のISIL関係者
が逮捕されている現状を踏まえれば,日本人・日本権益が標的となり,テロを含む様々な事件の被害に遭うおそれも
あります。 よって,マレーシアに渡航・滞在される皆様におかれてはこのような情勢を十分に認識して,誘拐,
脅迫,テロ等に遭わないよう,また,巻き込まれることがないよう,海外安全情報及び報道等により最新の治安・
テロ情勢等の関連情報の入手に努め,日頃から危機管理意識を持つとともに,状況に応じて適切で十分な安全対策
を講じるよう心がけてください。
2.地域情勢
(1)サバ州東側の島嶼部及び周辺海域
:「レベル3:渡航は止めてください。(渡航中止勧告)」(継続)
ア 同地域では,隣国との密出入国,密輸が絶えず,武器の押収事案や海賊事件が数多く発生しています。
また,以下のとおり,マレーシア人及び外国人の誘拐事件等が発生しています。
(a)2013年8月,センポルナ沖・ブンブン島における,マレーシア人漁民誘拐事件(直後に解放)
(b)2013年11月,センポルナ沖・ポンポン島のリゾート施設における,台湾人夫妻襲撃・誘拐事件
(1名はその場で殺害,1名は連れ去られ,同年12月解放)
(c)2014年4月,センポルナ沖・シンガマタ島のリゾート施設における,中国人旅行者及びフィリピン人従業員
襲撃・誘拐事件(5月解放)
(d)2014年5月,ラハ・ダトゥ沖・バイキ島の養魚場における,中国人マネージャー誘拐事件(7月解放)
(e)2014年6月,クナ沖の養魚場における,中華系オーナー及びフィリピン人警備員誘拐事件
(f)2014年7月,センポルナ沖の養魚場における中華系オーナーを狙った誘拐未遂事件
(g)2014年7月,センポルナ沖・マブール島のリゾート施設における,警備中の警察官襲撃・誘拐事件
(1名はその場で殺害,1名を連れ去り)
(h) 2015年6月,センポルナ沖・ポンポン島付近において,夜間航行禁止令を無視して航行していた不審船と
マレーシア治安当局との間で銃撃戦が発生
イ マレーシア当局は,海軍・警察・海上法令執行庁等による警戒を実施しているものの,約500キロメートルに
及ぶ長い海岸線や50以上の島嶼全域にわたる警備にも限界があることから,同地域には依然として誘拐・テロの
脅威の可能性があると指摘しています。これにより2014年7月以降,マレーシア当局はサバ州東側のサンダカン,
キナバタンカン,ラハ・ダトゥ,センポルナ,タワウ各地域の沿岸から3海里の地点からフィリピン国境までの
海域に対して夜間航行禁止令を発出しています。
ウ ついては,同地域については,依然として誘拐等の脅威があり,不測の事態に巻き込まれる危険性があります
ので,どのような目的であれ渡航を控えてください。
エ なお,この海域に近接するフィリピン領域内での誘拐事件,ASGの活動等については,フィリピンの危険情報も
御参照ください。
(2)サバ州東海岸のうち,サンダカン,ラハ・ダトゥ,クナ及びセンポルナ周辺地域
:「レベル3:渡航は止めてください。(渡航中止勧告)」(継続)
ア 2013年2月12日,東マレーシア(ボルネオ島)のサバ州南東部ラハ・ダトゥ地区において,「スールー王国軍
(Royal Sulu Sultanate Army)」と称する数百人規模の武装勢力によるフィリピン側からの侵入事案が発生しました。
同年3月以降,マレーシア警察・軍は,空軍航空機,装甲戦闘車を投入した共同掃討作戦を実施,同年6月末,
作戦終了が宣言されました。その後事態は沈静化していますが,スールー・スルタンはサバの領有権を引き続き
主張しており,今後も同種の事案発生が懸念されます。
イ センポルナ郊外では,2013年3月,同武装勢力と思われる外国人侵入者とマレーシア警察との間で銃撃戦が発生
しました。また,クナ地区でも同月,マレーシア治安当局が同武装勢力と思われる複数の侵入者を発見しましたが,
依然逮捕に至っていません。
ウ 2015年5月,サンダカンにおいて海岸にある観光客向けの高級レストランにて,中国系の共同オーナー女性及び
客の男性の計2名が,ASGとみられる武装集団に誘拐される事件が発生しました(11月にオーナー女性は解放
されるも男性は遺体で発見)。同市においては,更なる襲撃の可能性も排除し得ない状況です。
エ このほか,2012年11月,サバ州南東部のパームヤシ農園においてマレーシア人農園労働者4人が武装集団に
誘拐される事件が発生しました(2人は現場付近で解放,残る2人のうち1人は2013年8月,監禁先のフィリピン
南部から脱出)。
オ ついては,不測の事態に巻き込まれる危険性がありますので,同地域への渡航は,どのような目的であれ控えて
ください。
(3)サバ州東海岸のうち,上記(2)発出以外の地域(タワウ含む)
:「レベル2:不要不急の渡航は止めてください。」(継続)
ア サバ州東海岸のうち「レベル3:渡航は止めてください。(渡航中止勧告)」発出以外の地域についても,
ラハ・ダトゥに上陸した武装勢力がマレーシア軍の攻撃を受け,各地に拡散・潜伏していたり,新たな武装勢力が
フィリピン側より侵入する可能性があります。
イ ついては,同地域において武装勢力の脅威がある点に留意し,不要不急の渡航は控えてください。その上でなお,
渡航・滞在される場合には,日程・連絡先等を日本のご家族や現地の関係者に必ず伝えるとともに,
在マレーシア日本国大使館にも事前に連絡して,詳しい現地事情の収集に努め,十分な安全対策を取ってください。
3.その他の注意事項
マレーシアに渡航・滞在される際は,以下を参考にしつつ,状況に応じ,現地の大使館又は総領事館,あるいは
関係機関等より最新情報を入手して安全対策に努めてください。
(1)マレーシアは,タイ南部,フィリピン南部,インドネシア等イスラム過激派組織を抱える国・地域と隣接しており,
今後,国際情勢の推移の状況によっては,欧米などに対する感情が悪化し,マレーシアにある外国権益に対して
悪影響が及ぶ可能性も排除されないことに留意しておく必要があります。
(2)マレーシアでは,特に都市部において,ひったくり,スリ,置き引きのほか,持凶器強盗やタクシー運転手
による乗客狙いの強盗が頻発しており,滞在期間の長短を問わず邦人が一般犯罪に巻き込まれる例が増えています。
従って,外出時は常に危機意識を持ち,また甘い言葉を用いて接近してくる人物には十分警戒して,このような
犯罪に巻き込まれないよう注意してください。
犯罪被害例,防犯対策等の詳細については,<安全対策基礎データ>をご参照ください。
(3)マレーシア国内には特段の旅行制限区域はありませんが,軍事関連施設や宗教施設の中には立ち入りを禁じて
いる場所がありますので,宗教施設や公園又は地方を訪問する際には特に慎重に行動し,当然のことですが,
柵等が設けられている場所に無断で立ち入ったり,動植物を捕獲・採取したりしないよう留意してください。
なお,写真撮影も,被写体となる施設あるいは人物(特に女性)によっては問題となることがありますので,
事前に可否を確認する等,十分注意してください。
(4)マレーシアでは麻薬等違法薬物に対する規制が厳しく,違反した場合の法定刑は非常に重く,最高刑には死刑が
規定されています。麻薬等違法薬物の使用や売買に関わったり,また知り合いであっても中身のわからないものを
安易に預かったり,日本その他への運搬に手を貸すなどの違法行為に巻き込まれないようくれぐれも慎重に
行動してください。
(5)「レベル2:不要不急の渡航は止めてください。」以上の危険情報が発出されているサバ州東海岸及び東側の
島嶼部及び周辺地域に既に滞在している方は,不測の事態に備え,退避手段・経路等についても再確認してください。
(6)現地に3か月以上滞在される方は,緊急時の連絡などに必要ですので,到着後遅滞なく最寄りの日本国大使館
又は日本国総領事館に「在留届」を提出してください。また,住所その他届出事項に変更が生じたとき,又は
日本への帰国や他国に転居する(一時的な旅行を除く)際には,必ずその旨を届け出てください。
在留届の届出は,在留届電子届出システム(ORRネット:http://www.ezairyu.mofa.go.jp/ )による登録を
お勧めしますが,郵送,ファックスによっても行うことができますので,最寄りの在外公館まで送付してください。
(7)在留届の提出義務のない3か月未満の短期渡航者の方(海外旅行者・出張者など)を対象に,現地での滞在
予定を登録していただけるシステムとして,2014年7月1日より,外務省海外旅行登録(「たびレジ」)の運用を開始
しています。登録された方は,滞在先の最新の渡航情報や緊急事態発生時の連絡メール,また,いざという時の
安否照会連絡などの受け取りが可能ですので,ぜひご活用ください。
(問い合わせ窓口)
○外務省海外安全相談センター
住所:東京都千代田区霞が関2-2-1
電話:(代表)03-3580-3311(内線)2902,2903
(外務省関連課室連絡先)
○外務省領事局海外邦人安全課(テロ・誘拐関連を除く)
電話:(代表)03-3580-3311(内線)5139
○外務省領事局邦人テロ対策室(テロ・誘拐関連)
電話:(代表)03-3580-3311(内線)3679
○外務省 海外安全ホームページ: http://www.anzen.mofa.go.jp
http://m.anzen.mofa.go.jp/mbtop.asp (携帯版)
(現地公館連絡先)
○在マレーシア日本国大使館
住所:11, Persiaran Stonor, Off Jalan Tun Razak, 50450 Kuala
Lumpur, Malaysia
電話: (市外局番03) 2177-2600
国外からは(国番号60)-3-2177-2600
FAX : (市外局番03) 2143-1739
国外からは(国番号60)-3-2143-1739
ホームページ: http://www.my.emb-japan.go.jp/Japanese/index.htm
●ジョホール日本人会としましては、今後とも地域の安全に関する情報の発信、共有化に努めて参ります。
会員皆様からの安全情報のご提供をお待ちしておりますので、何卒事務局までご連絡頂きます様、
よろしくお願い致します。
以 上