マレーシア日本大使館よりの注意喚起(デング熱)
2017年1月23日 在マレーシア日本国大使館
1. 1月19日、マレーシアにおいて、デング熱に感染した邦人がその後死亡する事例が発生しました。
昨年7月21日には、新潟県においてフィリピンから帰国した女性がデング出血熱を発症し、死亡する
事例も発生しています。デング熱は、マレーシアやフィリピンに限らず、アジア・大洋州地域をはじめ
世界中の熱帯・亜熱帯地域で広く発生が見られます。
2. デング熱は通常、急激な発熱で発症し、発疹、頭痛、骨関節痛などの症状が見られますが、デング
熱患者の一部はまれに重症化してデング出血熱やデングショック症候群を発症し,早期に適切な治療が
行われなければ死に至ることがあります。デング熱等の蚊が媒介する感染症については、蚊に刺されない
よう予防措置をとるとともに、万が一発症した場合には、早期に医療機関を受診し、適切な治療を受ける
ことが重要となります。
3. つきましては、流行国・地域への渡航・滞在を予定している方、また、既に現地に滞在している方は、
以下4(4)を参考に、蚊に刺されないような予防措置に努めてください。デング熱が疑われる症状が
発生した場合には、早期に医療機関を受診し、適切な治療を受けるようにしてください。渡航・滞在先
での医療機関情報は、末尾に記載している現地日本国大使館・総領事館ホームページや、在外公館医務官
情報をご参照ください。
また、帰国時又は帰国後に発熱等体調の異常がある場合や渡航先で医療機関を受診するなど体調に不安
がある場合には、空港等の検疫所にご相談いただくか、近くの医療機関を受診し、海外への渡航歴を
告げてください。
デング熱について
(1)感染源
デング熱はデングウイルス(フラビウイルス属で1~4型まである)を持つ蚊(ネッタイシマカ、
ヒトスジシマカ等)に刺されることで感染します。感染は必ず蚊が媒介し、人から人への直接感染は
ありません。一度かかると免疫ができますが、異なった型のデングウイルスに感染した場合は再発症
します。デング熱を媒介する蚊の活動時間は、マラリアを媒介するハマダラカと異なり、夜明け少し
前から日暮れまでの間(特に朝と夕方)です。ただし室内にいる蚊は、夜間でも刺すことがあるので
注意する必要があります。
(2)症状
デングウイルスを保有した蚊に刺されて感染してから発症するまでの期間(潜伏期間)は、通常
3~7日です。症状は、急激な発熱(38~40度)に始まり、頭痛(一般的に目の奥(眼窩)の痛み)、
関節痛、筋肉痛、倦怠感を伴います。発熱は3~5日間継続し、解熱とともに痒みを伴ったハシカ様の
発疹が、熱の下がる頃に胸部や四肢に広がることがあります。また、食欲不振、全身倦怠感は1~2週間
続き、血小板が減少した例では、鼻出血、
歯肉からの出血、生理出血の過多を見ることもあります。通常、これらのデング熱の症状は1~2週間で
快復し、後遺症を伴うことはほとんどありません。デングウイルスに感染しても症状の出現しない例
(不顕性感染)も多いようですが、その頻度については不明です。
(3)治療方法
デング熱には特効薬がなく、一般に対症療法が行われます。特別な治療を行わなくても重症に至らない
場合が多く、死亡率は1パーセント以下であると言われています。ただし、時折デング出血熱という重篤
な病気に至ることがあります。デング出血熱は、口や鼻等の粘膜からの出血を伴い、死亡率の低いデング熱
と異なり、通常でも10パーセント前後、適切な手当てがなされない場合には、40~50パーセントが
死亡すると言われています。デング出血熱は発熱して2~7日後に発症することが多いようですが、デング熱
にかかった人がデング出血熱になるかどうかは事前に予測ができません(大人よりも小児に多発する傾向が
あります)。発熱が3日以上続いた場合は、医療機関への受診をお勧めします。また、デング熱感染が
疑われる場合には、鎮痛解熱剤にはアセトアミノフェンを使用し、アスピリン系の使用は避けてください。
(4)予防方法
デング熱には予防接種も予防薬もなく、蚊に刺されないようにすることが唯一の予防方法です。デング熱
発生地域に旅行を予定されている方は、デング熱を媒介するネッタイシマカ、ヒトスジシマカ等が古タイヤ
の溝などのわずかな水たまりで繁殖するため都市部でも多くみられることを念頭に置き、次の点に十分注意
の上、感染の予防に努めてください。
●外出する際には長袖シャツ・長ズボンなどの着用により肌の露出を少なくし、肌の露出した部分には昆虫
忌避剤(虫除けスプレー等)を2~3時間おきに塗布する。
●室内においても、電気蚊取り器、蚊取り線香や殺虫剤、蚊帳(かや)等を効果的に使用する。
●規則正しい生活と十分な睡眠、栄養をとることで抵抗力をつける。
●突然の高熱や頭痛、関節痛や筋肉痛、発疹等が現れた場合には、デング熱を疑って、直ちに専門医師の診断
を受ける。
●なお、蚊の繁殖を防ぐために、タイヤ、バケツ、おもちゃ、ペットの餌皿等を屋外放置しない、植木の
水受け等には砂を入れるなどの対策をとる。
○参考情報:
厚生労働省検疫所(FORTH) 感染症についての情報「デング熱」
http://www.forth.go.jp/useful/infectious/name/name33.html
国立感染症研究所 「デング熱」
http://www.nih.go.jp/niid/ja/diseases/ta/dengue.html
●ジョホール日本人会としましては、今後とも地域や近隣国の安全に関する情報の発信、共有化に
努めて参ります。会員皆様からの安全情報のご提供をお待ちしておりますので、身近な事件・事故など
ありましたら、何卒事務局までご連絡頂きます様、よろしくお願い致します。
以上